宿泊予約状況表2:日別宿泊売上グラフ
シート構成の全体像にて紹介した「水色シート:宿泊予約状況表」の読み方についての説明です。2回目は「日別宿泊売上グラフ(前年対比)」についてです。
このグラフは、ブッキングペースグラフで対象月の予約ペース良し悪しを把握した後に、良い理由(悪い理由)を分析し、日別の販売方針を決めるために使用します。
まずは前年同時期の日別予約状況と比較。
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日別宿泊売上グラフ(前年同時期時点予約売上と比較) ※赤枠内の前年時点日付を本年時点日付と同等の日に変更します。 |
上の例(時点比較)での読み取り例は以下の様な感じです。
●週末(高需要日)の傾向は?
週末では1日、8日、15日、29日が大きく勝ちに貢献している一方で、22日は負けていることがわかります。その他20日に突出した勝ちがありますが、ここは春分の日(木曜祝日)です。翌21日の金曜日も大きく勝てていることから見ると、21日金曜に有給休暇を取っての20日宿泊、21日宿泊といった動きがあるのだろうと想像できます(土曜日料金より安く泊まれる狙い目の日)。対して22日土曜日は休前日宿泊の分散によってやや低い需要となっています。
●平日(低需要日)の傾向は?
棒グラフの低い平日については、概ね前年よりも勝てている様に思われます。
●金・日の傾向は?
棒グラフの高い土曜日の一つ前が金曜、一つ後が日曜ですが、日曜の動きが悪いように思われます(2日、9日、23日で前年に対し顕著に負けている)。金曜は特段悪くなさそうです。
●全体の傾向としては?
黒の折れ線グラフが概ね一定ペースで右上がりになっています。これは、特定の日に大型団体が入っている様な状況ではなく、各日の勝ちが積み上がっての良ペースだということなのでまずは一安心。
とはいえ、全ての日で勝っているかというとそうではなく、土曜日・平日は好調、日曜日と春分の日後の週末に課題がありそうだということがわかります。
前年着地との比較をすれば日別の販売方針が見えてくる。
さて、それでは好調な土曜日・平日は一律で料金を上げてゆくべきでしょうか(→ちょっと待って)。まずは同じグラフを設定を変えて見てください。シート上部にある前年時点日付のプルダウンメニューを翌月初日(着地)に変更します。
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日別宿泊売上グラフ(前年着地売上と比較) ※赤枠内の前年時点日付を翌月初に変更します。 |
グラフの構成は変わりませんが、前年日別を表す灰色の面グラフの値がぐっと増えるはずです。多くの日で面グラフの方が棒グラフよりも勝っている状態になります。「2月1日の現時点から、この差の分だけ更に売上を伸ばさないと前年同曜日には勝てないよ」という意味です。
現時点で、明らかに前年同曜日着地売上を超えているのが20日(春分の日)。残室がまだあるのならばここは料金ランクを上げるべきでしょう。
土曜日については、残室数次第ですが8日などは料金ランクを上げるべきかどうか悩ましいところです。
他の土曜日はまだそこそこ伸ばさなければいけない状況で料金ランクアップは早急かもしれません。動きの悪い春分の日後の土曜日(22日)などは、逆に1室3名縛りを解いて間口を広げることを検討すべきかもしれません。
平日については、13日のみ前年着地に到達間近ですがその他はまだまだといったところでしょうか。予約ペースは良いのでこのまま様子を見て、13日のように前年着地を超えてくるようであれば料金ランクアップを検討したいところです。
平日・週末需要差が顕著な旅館・民宿のレベニューマネジメントでは「前年同週同曜日」の予約・着地との比較をするのが基本ですが、曜日関係なくやってくる年末年始、GW、お盆などについては「前年同日」と比較した方が良い場合があります。
2025年の正月は「年末年始9連休!」と期待されたカレンダー並びでした。しかし成人の日は一週明けて翌週末の3連休。かたや2024年は三が日過ぎて木・金平日のあとすぐに3連休でした。
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1月カレンダー 2024年 VS 2025年 |
カレンダーを比較するとこの様な並びです。果たして長期連休の効果は絶大だったのでしょうか。
14日までの休前日の数は24年が5日なのに対して25年は6日と多いので普通に考えれば勝てる日の並びなのですが...。
検証のために、「25.1月」のシートで設定を変えてこのグラフを見てみます。シート上部にある前年日付の合わせ方を「日付を合わせて並べる」に変更します。時点日付は前年も今年も着地(2/1時点)としました。
※赤枠内を「日付を合わせて並べる」に変更します。
黒の折れ線グラフに着目してみてください。元旦は前年元旦とほぼ同一ですが、2~4日の休前日(翌日も休みの休日)売上は全て前年に対して勝ち、グラフは右上がりです。考えてみれば前年の3日は連休最終日、4日は平日なので勝って当たり前。
しかし5日~9日で負けが続きグラフは大きく下がります(勝ち負け累計でもうすぐマイナス500万円:右軸)。前年は6~8日が成人の日含む3連休だから負けるのは当たり前かもしれませんが、気になるのは前年は平日だった4日と5日の売上が6~8日3連休に準ずるほど高いこと(灰色面グラフ)。対して今年の正月連休明け平日(6~10日)は極端な低空飛行。
ついで今年の成人の日連休は11~13日。ここも含めて比較しないとフェアじゃないので連休明けの14日や15日付近の勝ち負け累計を見ると...ほぼプラスマイナスゼロだったということがわかります。
休前日の数が一つ多いのにプラスマイナスゼロということは、失敗だったと言って良いでしょう。次回同様のカレンダーに対峙する際の経験値になる事例だと思います。
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